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2021/06/09

【企業向け】役員を取り巻くリスク ~ 株主代表訴訟編 ~

こんにちは!三井物産インシュアランスです!

前回記事にて訴訟の種類について解説しましたが、今回はその中から株主代表訴訟について解説します。リスクへの対策の前に、まずは前提知識を習得しましょう!

なお、本記事では非常に平易に解説しています。細かい法律面のお話や訴訟事例等の記載は
ありませんが、予めご了承下さい。


目次

1)株主代表訴訟とは
2)株主代表訴訟の留意点
3)役員目線から捉える株主代表訴訟
4)まとめ


 

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1)株主代表訴訟とは

通常、役員は会社の利益になるよう行動しますが、人間ですので判断を誤る可能性があります。また、場合によっては故意に会社にとって不利益な行動(横領など)を取る可能性もあります。

株式会社ではこのようなことのないよう複数の取締役がお互いに監視・監督することで適正な業務が行われる仕組みをとっています。
ただし、取締役も人間ですので個人的な感情で責任を追及しなかったり、取締役同士が手を組み不適正な業務を行ったりすることも考えられます。

このように役員が業務を適正に行わなかったことにより会社が損害を負った場合、取締役間で責任追及や訴訟提起がなされないので、他の誰かが訴訟提起する必要があります。

では誰が訴訟をするかですが、本来は会社がその責任追及をすることになりますが、株主が会社にかわって役員等の責任を追及することができます。
会社のオーナーたる株主であれば感情に流されることなく訴えることが出来、且つ株主自身も株価下落という損失を被るため訴える動機もあります。
そのための制度が株主代表訴訟というわけです。

株主代表訴訟という制度があることで株式会社という仕組みが洗練されていると言えますね。

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2)株主代表訴訟の留意点

① 実施条件
株主代表訴訟は誰でも実施出来るわけではありません。
6か月以上株式を保有している株主のみ実施可能です。

また、株主代表訴訟を実施すると決めてからすぐに実施出来るわけではありません。

株主が会社に対して訴訟提起を要求してから60日を経過してなお会社が訴訟を行わない場合に初めて株主代表訴訟を行うことが出来ます。(例外として60日待機することによって損害が拡大してしまう場合は即座に訴訟することが可能です。)

② 費用
訴訟提起そのものは1万3,000円で可能です。
弁護士費用など他にも色々と費用がかかりますが、そういった付随費用は勝訴すれば相当額を会社に請求することが出来ます。

株主の費用負担を少なくし訴訟を起こしやすくすることで、株式会社の適正な運営に寄与しています。

 

3)役員目線から捉える株主代表訴訟

上述の通り、株式会社を適正に運営するための制度が株主代表訴訟だと言えます。ただし、それはあくまで株主や第三者の目線であり、役員の目線では訴訟提起されるリスクが増加していると捉えることが出来ます。

もちろん故意に不適切な業務を行うことはご法度ですが、適正な判断をしたつもりが悪影響を及ぼしてしまい株主から訴訟されることは役員目線では恐ろしいリスクです。

日本はアメリカなどに比べれば訴訟件数の少ない国ではありますが、訴訟にまつわる知識の一般化や、上述の通り費用が安いことも相まって、時が経つにつれて訴訟は増加すると思われます。

さらには、役員のリスクが増えれば増えるほど、役員は及び腰になって積極的な経営判断が出来なくなる可能性もあります。
これは会社や株主にとっても悪影響ですね。

 

4) まとめ

今回は役員を取り巻くリスクとして株主代表訴訟について解説致しました。

株主代表訴訟という制度そのものは株式会社の適切な運営のために重要な制度ですが、役員にとってはリスクであり、その結果事業への積極性に支障が出る場合もあるということが本記事でお伝えしたい内容です。

このような状況下、役員として株主代表訴訟に対する対応策を何等か備えておくことが重要となります。

次回以降の記事では、株主代表訴訟以外の訴訟の概要や、リスクへの対応策(D&O保険)について解説しますので、そちらも是非ご一読頂ければと思います。


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